ここ?私立モーモー学園
ホントだよ
名刺まで作ったもん

No.03

坪井泰男 さん・美代 さん

畜産農家

葛尾村出身の泰男さんと、結婚を機に移住してきた美代さん。家のそばに牛舎があり、夫婦ふたりで黒毛和牛の子牛を育てる繁殖農家として畜産農業を営む。泰男さんは「私立モーモー学園」の園長と名乗るなど、ユーモアたっぷり!

どうせやるんだったら、
おもしろいほうがいいじゃない!

泰男さん:まじめに畜産をやってますって言っても、おもしろくないでしょ?やるなら遊びゴコロがあるほうがおもしろいなと思って、「私立モーモー学園」の園長っていう、名刺をつくっちゃったんですよ、はっはっは(笑)。そういう団体名でやってるわけではないんですけどね。そのほうがおもしろいなと思って(笑)。
うちでやってるのは、黒毛和牛の子牛を育てる繁殖農家。母牛に子牛を生んでもらい、生後10ヵ月まで子牛の世話をしています。この家では、親も黒毛和牛の畜産農家をやってたんですよ。だから子どもの頃から畜産には携わっていたけど、専業でやり始めたのはこの20年くらい。震災があったときに、一度田村市のほうへ避難したことはあったけど、ずっとこの場所でやってきました。

美代さん:昔はね、牛というと農作業用にどこの家にもいたんですよ。それが、機械で農業をやるようになってから、食用の牛として育てるようになったけどね。

泰男さん:牛は、寒さには強いんだけど、暑さには弱いんですよ。葛尾村って、標高が高いでしょ。夏は涼しいから、畜産農業をするにはちょうどいい環境なんです。ただ、子牛は寒さに弱いから対策が必要。子牛用のジャケットを羽織らせて、身体を温めています。あと、牛を育てるのに欠かせないのは水。牛はたくさん水を飲むからね。うちは山から水を引っ張ってきてるけど、畜産を始めるなら水が豊富にある場所がいいんじゃないかなと思いますね。

牛も人間と一緒。
毎日名前を呼んであいさつするの。

泰男さん:畜産農家って、なんとなく朝が早くて、ずっと働いてるイメージあるでしょ?実は、そんなことないんですよ。午前中に一度、草と配合飼料をまぜた餌、水をやって、牛の体温を測ったり具合を見る。具合が悪そうだったら、獣医さんを呼んで診てもらうけど、午前中の仕事はそれで終わり。午後は、昼過ぎにまた水と餌をやって、大きな仕事はそれで終わり。天気がよければパドック(屋外運動所)で牛たちを遊ばせることもある。もちろん楽ってことはないけど、昼寝もできるし、ずっと休みがないっていうわけではないんですよ。

美代さん:わたしたち二人でやってるから、どちらかに仕事を任せて出かけることもあるしね。

泰男さん:そうそう、月に一度ゴルフに行ったりもするし。毎日朝から晩まで働いているわけでもないし、定時が決められているわけではないんですよ。牛の様子を見ながらある程度働く時間をコントロールできたり、自分の時間をつくりやすいから、それがいいなと思うんですよね。でも牛だって、牛ごとに性格もあるし、人間のこともよく見てる。だから毎日「おはよう!」ってあいさつをするし、牛との関係性づくりっていうか、しつけは必要ですね。

美代さん:一頭一頭ね、名前があるんですよ。「みく」とか「そら」とか。自分たちで名前をつけるんですけどね。名前を呼びながら、話をするの。人間の子どもを世話するのと一緒ですよ(笑)。熱も出すし、牛はしゃべれはしないけど、具合悪そうだなって分かるから。愛情たっぷりかけた牛は、すくすく育つ。牛にとってストレスがないように育てるのが一番なんです。

昼ごはん

寒い日はあったまる汁物がいちばん。
だんご汁知ってる?だんご汁。
食べたらね昼寝これが日課。

美代さん:午前中の仕事は、だいたい2時間くらいで終わるから、その後昼ごはんの支度。用事があるとき以外は、ほとんど家で食べんだよ。今日はね、凍み餅を焼いたのと、だんご汁。そうそう、すいとん!今日はなんもないな〜って時はだいたいだんご汁つくっちゃう。根菜たっぷりの煮物でしょ、これは白菜の漬物。あと味ご飯ね。あ、これは味ご飯の素でつくったやつ(笑)
泰男さん:寒い日は、身体があったまる汁物がいいよなあ。凍み餅は醤油をかけて砂糖をかけて甘じょっぱくして食べるけど、まあ、その人の好みでね。砂糖なくても。

美代さん:で、食べたら眠くなっちゃうでしょ?特に冬は、寒いから。こたつに入って、昼寝してますね、はははは(笑)。うちのこたつは炭火だからじんわりあったかいでしょ?

泰男さん:そうだなあ、昼寝して、また15時くらいから仕事を始めて。夕方の仕事も17時くらいには終わるから、それくらいの時間から晩酌してる(笑)。必要以上に仕事をしないのが、自分にとって心地いい暮らしなんだよなあ〜。

あと10年は、
畜産農家をやっていたいなあ。

泰男さん:ずっとこの村にいるとなあ、いいところって言われてもよく分からないんだけど(笑)。逆に、不便だと感じたこともない。

美代さん:そうだね、不便ってその人の考え方次第。都会のような暮らしを求めるなら、ここは合わないかもしれないね。ここはポツンと家が1軒あるくらいだから、それが寂しいなって思う人も、ここで暮らすのは難しいかもしれない。

泰男さん:今62歳なんだけど、あと10年はこの仕事をやっていたいかな。もし畜産農家をやってみたいという人がいるなら、未経験でも問題ないと思うよ。育て方も、餌の種類もたくさんあるから、あまり情報を持ちすぎると、どうすればいいか分からなくなっちまう。ひとつの例として、わたしたちの畜産農家のあり方を見たい場合は、「モーモー学園」へ遊びに来てください(笑)。

ある日の1日の過ごし方

6:00
起床〜準備
8:00
牛の餌やり/お世話
12:00
昼食/昼寝タイム
14:00
牛の餌やり/お世話
17:00
夕食
18:00
晩酌
20:00
お風呂
22:00
就寝

[2022年1月取材]