村の畜産を、もう一度。
途絶えた養鶏業を
引き継いで。
高橋直樹さん
株式会社大笹農場 農場長
福島県伊達市出身。防衛省職員を経て、2020年から父が立ち上げた養鶏場「大笹農場」のスタッフとして勤務。現在は葛尾村に住みながら、農場長を務める。

高原の涼しい環境が、気持ちいいんです。
もともと、うちは祖父の代から福島県伊達市で養鶏業を営んできました。「伊達鶏」っていうブランド鶏、聞いたことありますか?その生産地なんですよ。
実は葛尾村も、かつては養鶏業が盛んで、4軒ほど養鶏農家さんがいたそうです。でも、東日本大震災と原発事故の影響で、廃業を余儀なくされてしまって。そこで父が2017年に「株式会社大笹農場」を設立し、廃業になった養鶏場を引き継ぐかたちで、2020年から葛尾村でも養鶏業を始めました。
僕自身、子どもの頃は実家の養鶏を手伝ったりしていて、この仕事は身近な存在でした。社会人になってからは、防衛省の職員として働いていたんですけど、「大笹農場」の立ち上げをきっかけにスタッフとして加わることに。そのタイミングで、葛尾村へ移住しました。
子どもの頃に、何度か父に連れられて葛尾村に来たことがあったんです。なんとなく、その時の風景は覚えていますね。だから、移住したときも「初めて来た」という感じはなくて。
養鶏は、涼しい環境が適しているんですが、高原に位置する葛尾村はまさにぴったり。特に夏は、本当に気持ちがいいですね。
システム管理だけど、人の感覚も欠かせない。
村内に2ヶ所の養鶏場があり、全6棟を稼働して飼育しています。その数、9万羽。飼料に食用ハーブをブレンドし、「ハーブ鶏」という名前で販売しています。葛尾村のふるさと納税の返礼品や、「葛尾村復興交流館あぜりあ」でも取り扱っていただいているので、見かけた際にはぜひ手に取ってみてください。村内の学校給食でも使ってもらっています。
今、農場長になって3年目。会社の代表は父ですが、農場の現場責任者は僕が担当しています。飼育はすべてコンピュータで管理しているので、力仕事はそこまで多くありません。その分、鶏たちのちょっとした体調の変化や、鶏舎の温度・湿度管理には、かなり気を配っています。
たとえば、システム上は問題ない温度でも、実際に鶏舎に入ってみると、空気のよどみを感じることがある。そんなときは、数字だけに頼らず、手動で調整します。そうした現場判断では、僕よりも長く養鶏業に携わってきた母の経験が頼りになります。鶏たちの様子や鶏舎の空気感を見ながら、心地よい環境をつくっていく。結構、経験や感覚がいきる仕事なんですよ。
今日は、うちで育てた若鶏のランチ。
うん、間違いないおいしさ!
ひよこを鶏舎に運び入れてから、だいたい50日で若鶏として出荷します。新しいひよこが入った日は、毎回ちょっとしたお楽しみがあって。それが、うちの若鶏を使った母の手料理なんです。
今日はちょうどその日。
おっ、チキンライスとカレーうどん。炭水化物×炭水化物っていう組み合わせも、なぜか毎回決まってるんですよね(笑)。自分たちで育てた鶏だから、味も大きさも自信がある。うん、今日もおいしい。
昼休みは、スタッフみんなで世間ばなし。テレビをつけて、スポーツの話をしたり、政治の話題で盛り上がる日もあります。たわいもない話をしながら、ちょっとひと息。
さて、午後の仕事は鶏舎の見回りから行きますか。



ある日の1日の過ごし方
- 6:30
- 起床
- 7:00
- 朝食
- 8:00
- 出勤/朝礼
- 8:30
- 事務仕事/鶏舎の管理
- 12:00
- お昼ごはん
- 13:00
- 来客対応/鶏舎の管理
- 17:00
- 保健所対応
- 18:00
- 出荷作業
- 21:30
- 退勤
- 22:00
- 晩ごはん
- 23:00
- お風呂
- 24:00
- 就寝
[2025年11月取材]
